目次
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第1回|営業は終わらない ― ビジネスデザイナーという新しい役割
第2回|顧客の事業をデザインする ― 営業DXの本質
序章:営業キャリアの「行き止まり感」
日本のBtoB企業において、営業職は長年にわたり「花形」とされてきました。顧客と直接向き合い、売上をつくり出す最前線の役割は、企業の成長に直結します。しかし同時に、多くの営業パーソンがキャリアを重ねる中で「行き止まり感」に直面してきたのも事実です。
営業マネージャー、部長、役員……キャリアの次のステップは存在しますが、そこに至るのはごく一握り。多くの営業は「個人として数字を追うこと」に縛られ、あるところで成長が頭打ちになってしまう。この構造は長らく、営業職に対する閉塞感を生んできました。
ところがいま、生成AIやDXの普及によって、営業のキャリアは新しい可能性を獲得しつつあります。作業的な仕事はAIに任せ、人間はより高次な価値創出に集中できるようになりました。その方向性を突き詰めていくと、営業は「売る人」で終わるのではなく、「顧客と事業を共創する人」へと進化できるのです。
その理想像こそが、私たちが提唱する「ビジネスデザイナー」です。
ビジネスデザイナーというキャリアパス
ビジネスデザイナーは、従来の営業やカスタマーサクセスの延長線上にありながらも、より広い視野とスキルを備えた存在です。単なる販売担当者ではなく、顧客の経営課題を理解し、解決のための戦略を一緒に描くパートナー。
このキャリアパスを歩むことは、営業パーソンにとって「行き止まり感」を打破し、自らの市場価値を高め続ける道筋になります。
3つの進化ステップ
- 営業マンから「課題解決者」へ
商品を売るのではなく、顧客課題を解決する視点を持つ。 - 課題解決者から「事業共創者」へ
単発の提案ではなく、顧客の成長シナリオを描き、共に実行する。 - 事業共創者から「ビジネスデザイナー」へ
自社と顧客の枠を超え、産業や社会の構造までを視野に入れた事業デザインを担う。
営業キャリア進化の方向性
営業のキャリアは「売上をつくる」だけにとどまる必要はありません。生成AIの普及とDXの進展によって、営業パーソンには新しい可能性が開かれています。それが「ビジネスデザイナー」への進化です。
次章以降では、ビジネスデザイナーに求められるスキルやマインドセット、キャリアの広がり方を具体的に解説していきます。