第2回|顧客の事業をデザインする ― 営業DXの本質

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目次

  1. 序章:DXは効率化のためではない
  2. 営業とマーケティングの分断を超えて
  3. 顧客の事業をデザインするとはどういうことか
  4. 営業DXの本質と次章への展望
  5. データが描く顧客のストーリー
  6. 営業DX・マーケティングDXが組織にもたらす変化
  7. 人材に求められる新しいスキルセット
  8. 実例から学ぶDXの本質
  9. 未来に向けて
  10. 結論:DXは顧客事業を共創するためにある

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第1回|営業は終わらない ― ビジネスデザイナーという新しい役割

序章:DXは効率化のためではない

近年、営業DXやマーケティングDXという言葉が広く使われるようになりました。多くの企業がSFAやCRM、MAといったツールを導入し、営業活動やマーケティング活動の効率化を進めています。確かに、これらの仕組みは属人的になりがちな業務を標準化し、データドリブンで意思決定する基盤を整えるという意味で大きな価値があります。

しかし、ここで重要なのは「DXは効率化のためだけにあるわけではない」という点です。ツール導入やデータ活用は目的ではなく手段です。真の目的は、営業とマーケティングを通じて顧客のビジネスを成功に導くこと。つまり、DXは「顧客の事業をデザインするための基盤」であるべきなのです。

営業とマーケティングの分断を超えて

従来、多くの企業では営業とマーケティングが別々に機能してきました。マーケティング部門はリードを獲得するところまで、営業部門はリードを引き継いで商談を進めるところまで。両者の間にはしばしば断絶があり、せっかくの見込み客が活かされないことも珍しくありませんでした。

生成AIやデータ基盤の進化によって、この分断を超えることが可能になっています。顧客の行動履歴や属性データを統合すれば、マーケティングの打ち手と営業の活動を一気通貫で設計できるようになります。さらに、AIはそれらのデータをもとに次に取るべきアクションを提案し、個々の顧客に最適化された体験を実現します。

このときに必要なのは、単にツールを導入することではなく、「営業とマーケティングを統合し、顧客事業の成功を共創する」という発想です。

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顧客の事業をデザインするとはどういうことか

「顧客の事業をデザインする」とは、単に顧客の要望に応えることではありません。表面的なニーズの奥にある事業課題を掘り下げ、それを構造化し、解決に至るシナリオを描くことを意味します。

たとえば、新しいSaaSを導入したいという相談を受けたとします。従来型の営業であれば、製品の機能や価格を説明することに終始したかもしれません。しかしビジネスデザイナー的な営業・マーケティングは違います。その企業の事業モデルを理解し、なぜそのSaaSが必要なのか、導入によってどのような成果を目指すのかを一緒に設計します。場合によっては、そもそもSaaSを導入する前に業務プロセスを見直すべきだ、という結論になるかもしれません。

つまり、顧客と共に「ビジネスの未来像を描く」ことが営業DX・マーケティングDXの本質なのです。

営業DXの本質と次章への展望

営業DX・マーケティングDXは単なる効率化のための取り組みではありません。真の価値は、顧客の事業を深く理解し、その成功を共にデザインする基盤になることにあります。ツールはあくまで手段であり、目指すべきは「顧客事業の共創」。

次章以降では、この「顧客の事業をデザインする」という考え方をさらに掘り下げます。どのようなデータ活用が求められるのか、営業とマーケティングがどのように連携すべきなのか、そしてそれを実現する組織や人材の在り方について考えていきます。

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