• TOP
  • 記事一覧
  • AIで営業を“チーム戦”に ― 商談準備から提案、振り返りまでを変える新プロセス ―

AIで営業を“チーム戦”に ― 商談準備から提案、振り返りまでを変える新プロセス ―

記事ヘッダー

営業の現場にも、AI活用の波が本格的に押し寄せている。

資料作成や顧客分析の効率化にとどまらず、チーム全体の知見を活かした「共創的な営業」へと進化する企業が増加している。

AIの力によって、“個人戦”だった営業はいま、“チーム戦”へと姿を変えつつある。

連載第一弾はこちら >> 営業DXは“効率化”で終わらない ― 成果を生む“営業の仕組み化”へ、DXの本質を問い直す

営業の“個人戦”構造がもたらす限界

ai-sales-team-process_img1

多くの企業で、営業は依然として「個の経験」に依存している。商談準備、提案内容の構築、顧客との対話──どのプロセスも担当者のスキルや勘に左右される。属人化は成果の再現性を阻み、チーム全体の生産性を下げる要因となってきた。DXやSFAの導入によって情報共有の仕組みは整いつつあるものの、「情報はあるが活かされていない「データが分断されている」という課題は依然として残っている。

組織として顧客理解を深め、提案の質を高めるためには、人の経験知をチームの知識として活かす仕組みが欠かせない。

AIがもたらす“商談準備革命”

ai-sales-team-process_img2

生成AIの台頭により、営業準備のあり方が根本から変わりつつある。商談の前にAIが過去の提案資料、顧客の業界動向、競合情報を自動で整理・要約し、最適な提案の方向性を提示する。

この「営業準備AI」は、担当者の思考を補助する“第二のブレーン”として機能する。営業担当者は、これまで情報収集や資料編集に費やしていた時間を、「顧客の課題をどう解くか」という本質的な思考に充てられるようになる。

結果として、商談前の段階からチーム全体で戦略を共有し、“準備の質”が営業成果を左右する時代が到来している。

📊 AIが変える営業プロセス(Before/After)

フェーズ 従来型営業 AI活用型営業
商談準備 担当者が手作業で情報収集・資料作成 AIがデータを自動収集し、要点を整理・提案方向を提示
提案設計 過去の経験に基づく属人的判断 チーム全体でナレッジを共有し、AIが類似成功事例を提案
商談対応 担当者のスキルに依存 AIが議事録・質問・反応を解析し、次の一手を支援
振り返り 個人の感覚による反省 AIが商談データを分析し、改善点を可視化・共有

この変化の本質は、「AIが営業を置き換える」のではなく、“営業の思考プロセス”をチームで共有できるようにすることにある。

商談の「前」「中」「後」をつなぐAI

ai-sales-team-process_img3

営業DXの第二フェーズでは、AIを“分断されたプロセスをつなぐハブ”として位置づける考え方が重要である。

商談前にはAIが顧客情報を集約し、チームの戦略を整える。商談中にはAIが会話内容を自動でテキスト化・要約し、リアルタイムでインサイトを提示する。商談後にはその記録を学習データとして蓄積し、次回以降の提案精度を高めていく。

この循環により、営業の現場では「一度の商談」が組織全体の学びとなり、次の商談準備が格段に速く、深くなる。AIが営業活動の“知の循環”を支えることで、チーム全体が共通のナレッジで動く“学習型営業組織”が生まれる。

営業DXをさらに一歩進めたい方へ。

営業DXの実践例をまとめた特別資料
『AIが変える営業の現場──属人化を超えた実践から学ぶ
5つの成功モデル』
を公開中。

“AI営業時代”に問われるマネジメントの役割

ai-sales-team-process_img4

AIの導入で営業プロセスが進化する一方、マネジメント層には新たな課題が生まれている。

それは、AIを“管理ツール”ではなく“共創ツール”として使いこなすことである。AIが生成したレポートや要約を鵜呑みにせず、そこから得られる示唆をどう判断し、どうチームにフィードバックするか。重要なのは、AIの出力を「問い直す力」を持つことだ。

営業マネージャーがAIの提案を活用し、メンバーと共に改善点を議論する。その過程で現場の知見が磨かれ、AIの学習データも進化していく。

つまり、AIの活用とは「現場とマネジメントが対話する文化づくり」でもある。

AIを営業組織で活かすための3原則

  1. “人×AI”の協働を前提に設計する:
    AIを代替ではなく補完として使う。AIが提案の方向性を示し、人が最終判断を下す。その協働の設計こそが、AI導入の成否を左右する。
  2. 学びを組織全体に還元する:
    AIの出力は一人の判断材料にとどめず、チーム全体で議論・共有し、ナレッジ化する。共有と対話のプロセスが、AIを“現場の知恵”に変える。
  3. 成果とともに“学習と改善のスピード”を重視する:
    短期的な成果だけでなく、試行・学習・改善のスピードを重視することで、チームの成長サイクルを加速させる。成果を見据えながら学び続ける文化が、AI活用の定着を支える。

AIは単なるツールではなく、「組織が学び続けるための装置」である。AI導入を“成果創出のための文化変革”としてとらえる企業こそが、次の時代の営業をリードしていくことになる。

営業を“チーム戦”に変える、AIの力

ai-sales-team-process_img5

営業DXの最終目標は、「人がより創造的に働ける環境」をつくることにある。AIが煩雑な準備や分析を担うことで、営業は顧客の課題理解や価値提案といった“人にしかできない領域”に集中できるようになる。

個人のスキルに依存した営業から、チーム全体で成果を生み出す営業へ。AIが生み出すのは、単なる効率化ではなく「共創の営業文化」である。そしてその文化を支えるのは、データでもツールでもなく、“人の意志”と“問い”である。

次回予告

次回は「営業組織を“学習するチーム”に──DXの定着を支える文化づくり」をテーマに、AIを活用したナレッジ循環と、現場定着の仕組みを掘り下げていく。

※本記事は株式会社ピースフラットシステムの監修のもと執筆しています。

ホワイトペーパー詳細

AIで営業を“チーム戦”に変える実践ノウハウ公開中!
株式会社ピースフラットシステム監修

👉 無料ホワイトペーパー『AI営業改革 実践ガイド』をダウンロードする

自動化の記事一覧

Sales First Magazine のトップページへ戻る