なぜ、あの“本命顧客”は動いたのか?営業が知るべきABMの決定打

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「提案内容は悪くない。でも、なぜか決まらない」──そんな“あと一歩届かない”営業の壁に、心当たりはありませんか?

いま求められているのは、“この1社”に刺さる戦略。動かない本命顧客を動かす鍵が、アカウントベースドマーケティング(ABM)です。

本記事では、ABMの基本から実践ステップ、ツール活用や成功事例までを営業視点で解説します。

目次

  1. ABMとは?営業戦略における基本概念とその本質
  2. 営業におけるABMのメリット・デメリットとは?
  3. 営業が実践するABMの5ステップ
  4. ABMを支える4つのツール活用法
  5. ABM営業を成功させるために押さえるべき5つのポイントと失敗例
  6. 営業とマーケの分断がABM最大の壁
  7. 【事例】重要顧客への提案を進化させたABM活用ストーリー
  8. まとめ

ABMとは?営業戦略における基本概念とその本質

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ABM(アカウントベースドマーケティング)とは、「特定の重要顧客」に対して個別最適なアプローチを仕掛けるBtoBマーケティング手法です。

営業活動でいうところの「この顧客をなんとしても取りたい」という1社に絞って戦略を設計することに近く、広くリードを集めるのではなく、深く狙い撃つアプローチです。

ABMの営業視点での特徴は以下の3点です。

  • 大口顧客や戦略的ターゲットに限定し、効率的に成果を上げる
  • 複数の意思決定者にパーソナライズした提案を届けられる
  • マーケティング部門と一体で、顧客ごとの専用戦略を構築できる

特に、以下のような営業課題を感じている場合、ABM導入が効果的です。

  • リード獲得後の成約率が伸びない
  • 重要顧客との継続的な関係構築が弱い
  • 提案が「響いていない」と感じるシーンが多い

営業におけるABMのメリット・デメリットとは?

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メリット

① 成約率・LTVの向上
パーソナライズされた提案により顧客の信頼を得やすくなり、結果として高い成約率・LTVが見込めます。

② 効率的なリソース配分
営業リソースを価値の高いアカウントに集中することで、無駄なアプローチが減り、効率的な営業活動が可能になります。

③ 複数の意思決定者に的確なアプローチ
ABMは、関与するキーパーソンごとに最適なコミュニケーションを設計するため、複雑なBtoB商談にも有効です。

デメリット

① 施策立案と実行に手間がかかる
個別最適化のため、アプローチごとの設計やコンテンツ作成に時間と労力が必要です。

② 即効性は低い
ABMは長期的な関係構築が前提のため、短期間での成果が出にくい場合があります。

③ 全顧客に適用できるわけではない
ROIが見込めるアカウントの選定が重要で、対象を誤ると効果が薄れるリスクもあります。

営業が実践するABMの5ステップ

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ABMを営業活動に取り入れるうえでは、戦略の立て方から提案内容の設計、社内連携、成果の振り返りまで、すべての工程に一貫した流れが求められます。

ここでは、営業担当が現場で実践できる「ABMの5つのステップ」と、その前提となる準備事項を順を追って解説します。

ABM導入前に営業が準備すべき3つのこと

ABMを進めるうえで、営業側の事前準備が不十分だと、せっかくの施策も効果が出にくくなります。以下の3点は、導入前に必ず整理しておきたいポイントです。

①目標顧客とKPIの明確化
「誰に、どれだけの売上貢献を期待するのか」を数値ベースで設定します。商談化率や提案件数といった中間指標も決めておくと、評価と改善がしやすくなります。

②営業・マーケのコミュニケーションルール整備
「週次でデータを共有する」「MAのスコアが●点を超えたら営業がアプローチ」など、連携ルールをあらかじめ取り決めておくことで、スムーズな連携が可能になります。

③担当者ごとの役割の切り分け
マーケはデータ分析とコンテンツ準備、営業はアプローチ設計と商談対応といったように、担当ごとの役割を明確にしておくことで、無駄な重複や連携漏れが防げます。

STEP1. ターゲットアカウントの選定

ABMの成否を分けるのは、最初のターゲット選定です。成果を最大化するには、自社にとって「戦略的に重要な顧客」に的を絞る必要があります。

選定のポイント

  • 売上貢献が大きい、もしくは成長性の高い顧客
  • 意思決定構造や業界動向を把握しやすい
  • 「案件規模 × 関係性 × 将来性」でスコアリング可能

STEP2. アカウント理解の深掘り

顧客ごとの課題や意思決定構造を深く理解することで、提案の精度が格段に上がります。営業としての“引き出し”を増やすフェーズです。

調査すべき情報

  • 業界動向や競合の動き
  • 過去の接触履歴、顧客発言、導入実績
  • 意思決定者の関心領域や立場

STEP3. 提案内容・コンテンツのパーソナライズ

相手企業の状況に応じた「自分ごと」と感じられる提案が、ABMの核心です。個社ごとにカスタマイズしたメッセージ設計が求められます。

準備する内容

  • 顧客課題と自社の解決策を結びつけた提案軸
  • ロゴ入り資料や事例を含むオリジナルコンテンツ
  • 汎用資料をもとにした柔軟なカスタマイズ

STEP4. マーケと連携し、アクションを統合

ABMでは、営業とマーケが「1つのチーム」として動くことが不可欠です。データと感覚を融合した連携体制が、施策の一貫性を支えます。

実践のポイント

  • MAスコアや顧客反応に応じたタイミングで営業が動く
  • セミナーやコンテンツの活用タイミングを共有
  • 定例ミーティングでリアルな進捗をすり合わせる

STEP5. 定期的に成果を分析・改善

ABMは“回して育てる戦略”です。初回で結果が出なくても、定期的なレビューと修正が成否を左右します。

改善のための着眼点

  • 商談化率・滞留要因・レスポンス率などの可視化
  • 結果が出た施策・アクションの型化
  • PDCAを週次・月次でルーチン化

ABMを支える4つのツール活用法

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ABMの実践にはツール活用が欠かせません。とはいえ、すべてのツールを一度に導入するのは現実的ではないのも事実です。

営業部門が主導するABMでは、以下のような段階的な導入フローを意識するとスムーズです。

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