ウラノが挑む、世界品質の「削り」を次代へつなぐ経営

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航空機やロケット、半導体製造装置、発電設備、医療機器。株式会社ウラノが手がける部品は、普段は人の目に触れにくい場所で、産業と暮らしの安全を支えている。

同社の技術の中核は、金属を精密に加工する「削り」だ。農機具の部品製造から始まり、自動車やオートバイなどの量産部品を経て、現在は航空・宇宙、発電・プラント、半導体製造装置、医療機器と、高い品質が求められる領域へ事業を広げてきた。1000分の1ミリまで正確に削り上げる技術と、営業、生産技術、生産管理、製造、品質保証などが連携する体制を強みとしている。

2025年に代表取締役社長に就任した小林正樹氏は、これまでの歩みを「大きく舵を切るというより、引き継いだものをより良くしていく段階」と語る。価格ではなく技術で評価される会社として培ってきた信頼を、どのように次の成長へつなぐのか。顧客との向き合い方、品質を支える組織、そして人と地域を大切にする経営について聞いた。

■Interviewee

株式会社ウラノ 代表取締役 小林正樹氏

価格競争を離れ、技術で評価される領域へ

ウラノの創業は1950年。埼玉県本庄市で、農機具の部品をつくる浦野鉄工所として歩みを始めた。その後は自動車やオートバイなどの量産部品も手がけたが、競合が多く、価格競争の厳しい市場だったという。

現在につながる転機は1989年に訪れた。当時、日本ではまだ珍しかった高精度の5軸マシニングセンターを4台導入。加工難易度が高く、より大きな付加価値を生み出せる産業への参入を目指した。同年に5軸制御マシニングセンター工場を完成させ、翌1990年には航空機部品の加工を始めた。1998年には、半導体製造装置の部品加工にも参入している。

「価格だけではなく、技術力で評価されるものづくりを目指して、高度な加工技術が求められる分野へ大きく舵を切ったと聞いています」

以降、航空・宇宙や半導体製造装置、医療機器などに経営資源を集中し、量産部品からは段階的に撤退した。自動車産業の技術水準が低いということではない。自社が得意とするマシニングセンターによる金属加工を、最も生かせる領域に絞り込んだ判断だった。

時間のかかる挑戦を、途中で諦めない

高度な技術を必要とする市場へ進んだからといって、すぐに成果が得られたわけではない。航空機や半導体製造装置の分野では、初期投資が大きく、量産に至るまで5年、6年とかかることもある。試作と試験を繰り返しながら、一つずつ実績を積み上げなければならない。

その途中で撤退する企業もあるなか、ウラノは難しい案件に向き合い続けた。小林氏は、その背景に「特に航空の分野では、日本一になりたい」という先代・先々代の強い思いがあったと振り返る。

「諦めずにお客様の要望に応え、QCDの実績を積み上げてきたことが、今の信頼につながっていると思います」

航空機部品は、開発から量産、機体の退役まで、20年、25年という長い期間にわたって供給が続く場合がある。受注した企業には、景気や自社の事情に左右されず、長期的に供給を支える責任が求められる。顧客側も、取引先の技術や生産体制を前提として投資を行うため、途中で仕事を断れば関係を再構築することは容易ではない。

だからこそウラノは、図面を受け取って加工するだけでなく、納期や生産能力も含めて顧客と綿密に擦り合わせ、「最後まで供給責任を果たす」という覚悟を重視してきた。加工精度だけでは見えにくいこの姿勢こそが、顧客にとっての安心になっている。

現場を開き、技術の価値を顧客と共有する

精密加工の価値は、完成した部品だけを見ても伝わりにくい。わずかな寸法差だけでなく、作業環境、工程管理、記録、検査方法まで含めて品質がつくられるからだ。

そこでウラノが大切にしているのが、顧客に実際の現場を見てもらうことだ。新しいプロジェクトを立ち上げる際には、可能な限り工場へ足を運んでもらい、設備だけでなく、どのような環境で社員が製品に向き合い、品質や安全性を担保しているのかを確認してもらう。

「現場で生まれる技術の会話や、品質をどう守っているかという考え方を直接伝えることで、『ここなら加工を任せられる』『この体制なら量産できる』と判断していただけます」

顧客との窓口は営業が担うが、専門的な検討は営業だけで完結しない。自社と顧客双方の生産技術担当者が、対面やオンラインで図面に記されていない条件まで擦り合わせる。近年は加工に加え、材料調達、特殊工程、組み立てまで含めて支援する提案も増えている。既存顧客だけでなく、新規の取引先にも、双方にメリットが生まれる工程や進め方を提案するようになった。

技術を一方的に説明するのではなく、まず顧客の要望を深く理解し、全体最適をともに考える。ウラノの営業は、現場の技術者と顧客をつなぎながら、長期的な信頼を形にしていく役割を担っている。

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