東山フイルムの“命を吹き込む”ものづくり

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創業から75年以上。東山フイルム株式会社は、時代ごとに求められる機能や用途に応えながら、独自のフィルム加工技術を磨き続けてきた。現在は車載、ディスプレイ、フォルダブル端末、半導体分野まで領域を広げ、「フィルムに命を吹き込む」という思想のもと、高機能フィルムの開発・製造を手掛けている。

同社の特徴は、単なる受託加工企業ではない点にある。顧客とともに試作・改善・量産を進める“共創型”のものづくりを強みに、通常は閉ざされる加工現場を顧客へ開放し、課題解決型の開発を推進してきた。市場変化の激しいフィルム業界において、なぜ東山フイルムは選ばれ続けるのか。代表取締役社長の堤秀介氏に話を聞いた。

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東山フイルム株式会社 代表取締役社長 堤 秀介 氏

「切る・貼る」から始まった東山フイルムの原点

東山フイルム株式会社のルーツは、1949年創業の東山電線株式会社にある。創業当初は、モーターや変圧器向けの絶縁加工を主力としていた。戦後間もない時代、紙による絶縁加工が中心だったが、創業者は機械づくりに強みを持つ技術者だったという。

「創業者は自分で機械をつくって自動化を進め、他社よりも安く、品質の良いものをつくることに長けていました」

その後、時代の変化とともに絶縁材料は紙からフィルムへと移行。東山フイルムもフィルム加工分野へと舵を切っていく。さらに顧客ニーズに応える形で、釣具の透明ケース用途や印刷対応フィルム、ハードコートフィルムなど、用途を拡大していった。

特に大きな転機となったのが、「フィルム表面へ機能を付与する」という発想だった。PETフィルムはそのままではインクが乗りにくい。そこへ「高級な釣り竿を入れる透明ケースに印刷をしたい」「カード式電卓の画面が傷つかないようハードコートを塗れないか」といった、具体的な顧客要望が寄せられ始めた。これをきっかけに、東山フイルムは単なる“加工”から、フィルムへ新たな機能を付与する“機能付与”へと領域を広げていく。

そこから同社は、現在の主力となるコーティング技術へと踏み出すことになる。

売上規模を超える投資――コーティング事業への挑戦

コーティング事業への本格参入は、1997年の恵那工場新設にさかのぼる。当時の東山フイルムの年間売上は約11億円。恵那工場の設立は、その自社の年間売上を上回るほどの巨額投資という、極めて大きな決断だった。

「自社の売上を超えるような投資をして工場を立ち上げたわけです。しかも、当時の東山にはまだコーティング技術がなかったんです」

きっかけは、取引先であった大手繊維メーカーからの提案だった。コンデンサー用途で必要となるシリコン加工について相談を受け、OEM供給という形で参入を決断する。

ただし、当時の東山フイルムには技術的な蓄積がなかった。社員が大手繊維メーカーへ研修に通い、一から学びながら技術を構築していったという。

その後、設備を稼働させるため、同社は“カスタム”と呼ぶ独自ビジネスを強化していく。顧客に工場へ来てもらい、試作や開発を共同で進めるスタイルだ。

「お客様の商品を一緒につくらせていただく。その中で技術を磨き、コーティング技術を進化させてきました」

さらに、自社製品開発にも着手。液晶ディスプレイ向けフィルムなどでヒット商品を生み出し、事業を成長させていった。一方で、リーマンショック時には巨額投資による負担も重くのしかかったという。

その後、2014年に大塚化学の連結子会社となり、経営基盤を強化しながら、新たな成長フェーズへと進んでいく。

業界の常識を覆す「あえて見せる」工場――共創型ものづくりという強み

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