足元を磨き、未知なる市場へ踏み出す――ハマダの改善と市場開拓

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自社の技術を、どう次の仕事につなげていくか。

株式会社ハマダは、自動車部品の加工を中心に事業を展開し、現在はそこで培った技術を医療分野にも広げている。

同社の歩みを振り返ると、一つの転機となったのが1961年の専用工作機械の製作販売開始である。自動車部品の生産で求められる精度や生産性に応えるため、市販の汎用機だけに頼らず、自ら設備をつくる道を選んだ。

その姿勢は、現在の顧客との仕事にもつながっている。

代表取締役社長の濵田忠彦氏が営業について語ったのは、目の前の顧客から受けている仕事を改善し続けることだった。

「お客様からいただいている現在の仕事の完成度を高めていくことが、一番のポイントだと思っています」

既存の仕事を磨くこと、新しい市場を見ること、そして改善を一部の人だけの仕事にしないこと。日々の仕事から次の可能性を生み出そうとするハマダの取り組みを追った。

■Interviewee

株式会社ハマダ 代表取締役社長 濵田 忠彦氏

専用機を自らつくるところから始まった独自技術

ハマダが自動車部品の生産を始めて約10年が経った頃、同社は自社製の専用機を開発し、販売するようになった。

当時、自動車メーカーから求められる部品をつくる際、市販の汎用機では十分な生産性を得にくいケースがあったという。

「汎用機を使うより、自分たちで専用機をつくり、より高い精度と生産性を目指そうという考えだったと思います」

濵田氏は、この頃から「独自の技術を身につけよう」という動きが強まったと振り返る。その背景については、技術者だった2代目社長の存在にも触れた。

「他社より生産性の高い、精度の高いものづくりをやろうという気持ちが根底にあったんだろうと思います」

独自の設備をつくり、求められる精度や生産性に応える。その積み重ねが、ハマダのものづくりを形づくってきた。

「今ある仕事の完成度を高める」ことから始める

現在、ハマダが顧客へ技術力を伝えるうえでも、濵田氏が重視しているのは、すでに受けている仕事の完成度を徹底的に高めていくことである。

そのための手段の一つが改善活動だ。

専務取締役の大石豊氏も、一度取り組んだ仕事を諦めず、改善を重ねることを同社の特徴として挙げる。過去に受注した製品についても、現在まで改善を続けている事例があるという。

新規顧客との接点についても、既存顧客との関係から生まれるケースがある。

広島地区で長く自動車関連の仕事をしてきたハマダでは、顧客が他の自動車メーカーへのアプローチを試みる際、一緒に取り組むことがあるという。

地域が変われば、仕事の進め方や生産方法にも違いがある。そこで新しいやり方を学ぶこともあれば、広島地区で培った方法を他の地域へ展開することもあると大石氏は話す。

技術と市場性を見て、医療分野へ

自動車部品で培った技術を、別の市場へ展開する動きも進めてきた。その一つが医療分野である。

濵田氏は、自動車部品のものづくりで培った技術をそのまま医療分野へ持ち込めるわけではないとしたうえで、ベースとなる技術を応用することで貢献できる可能性を感じていたと話す。

「自動車部品のものづくりをベースにして、リメイクすることによって医療機器分野に十分貢献することができるというのは、いろいろな情報から確信していました」

もう一つ、事業を考えるうえで見ていたのが市場性だった。その判断材料の一つとなったのが、世界各国で開催される展示会である。

「専門家からの情報収集に加えて、日本だけでなく世界各国の展示会に足を運ぶことも非常に大事だと考えています」

実際に現地へ行き、人が集まっている分野を見る。濵田氏は、そうした状況も将来性を考える際の参考にしたという。

自社の技術を生かせるか。そして、市場性があるか。医療分野への展開では、その双方を見て判断してきた。

改善を「全員参加」にし、商品化の可能性を探る

受託加工に加えて、自社製品の開発にも領域を広げるうえでは、新たな課題も生まれる。

濵田氏が挙げたのが、開発に携わる人材である。一方で、日々の改善活動を続けるなかから、商品開発につながる発想も出てきたという。

ハマダでは改善発表会を継続して行っている。改善を重ねるにつれて、自分たちの仕事を便利にするという視点だけではなく、市場側から改善を見る機会が増えてきた。

ハマダが改善活動で重視しているのは、一部の社員だけの取り組みにしないことだ。濵田氏は「全員参加」を目標に掲げ、その状態に近づけてきたという。

「改善活動は、一部の人だけが担うものになりがちです。私たちは全員参加を目標にして、そこに近づけていることが一つのポイントだと思います」

改善活動について濵田氏は、社内の業務を便利にするだけでなく、市場の視点から捉えることにも触れた。

「もうちょっと頑張ったら特許になるんじゃないかとか、もうちょっと頑張ったら、今市販されているものより安く商品ができるんじゃないかとか、いろいろなところを市場からの目線で持てるようになります」

濵田氏は、自分たちの仕事を便利にするための改善について、「究極は商品になる」と考えている。

「全員参加の改善ができれば、全社員が商品開発者になる」と語る。そのために、全員参加を、“ハマダ哲学”として根づかせたいという。

改善発表会には顧客や関係企業が参加することもある。社内で開発したプログラムについて、DXの商品として販売できるのではないかというコメントが寄せられたこともあった。

日々の改善を社内だけの評価で終わらせず、外部の目にも触れさせる。そこから別の用途や商品化の可能性に気づく機会も生まれている。

「任せきる」ことで、社員が自ら考える

社員が自ら考え、挑戦する組織をつくるうえで、濵田氏が重視しているのが、担当者に仕事を任せることである。

「やっぱり担当者に任せきるということだろうと思います」

任せれば、当然うまくいかないこともある。濵田氏は、そこで生じる失敗についても、すべてを避けるべきものとは捉えていない。

「顔が見える失敗であれば、その失敗談が最高の教材に変わると思っています」

誰が担当し、何に取り組み、そこで何が起きたのか。それが分かる失敗であれば、次に生かすことができる。一方、誰が取り組んだのか分からないまま起きる失敗とは区別して考えている。

仕事を任せる側にも不安はある。

「経営者はもう、すごい心配ですよ。心配が大きいほど、人が成長するような気がします」

では、任される社員側はどう感じているのか。

大石氏は、濵田氏から仕事を任されることで、より「自分ごと」になり、真剣に向き合うようになると話す。何かあれば誰かが助けてくれるという感覚ではなく、信頼して任されているからこそ、自分で進めなければならないという意識が生まれるという。

任された以上、自分なりの最善策を考える。その過程で、経営者から「背中を押してもらっている」ように感じることもあると大石氏は語った。

経営者が任せ、社員が自ら考えて動く。失敗したとしても、誰が何に挑戦したのかが見えるものであれば、次の学びに変える。ハマダでは、「全員参加」の改善活動を通じての人材育成、そして社員一人ひとりに仕事を任せる組織づくりも重視している。

顧客はホームページを見てから来る

新しい顧客へ技術を伝えるうえでは、Webでの情報発信も重要になる。

濵田氏は、ハマダを訪れる顧客についてこう話す。

「来社されるお客様は、事前にホームページなどをかなりチェックされています。必要とする技術があるかどうかは、大きなポイントだと思います」

顧客が探している技術と、自社が持っている技術。その二つがWeb上で接点を持てるかについても、濵田氏は意識している。

「検索で見つけてもらえるかどうかも、大きなポイントだと思います」

情報発信そのものには難しさを感じているというが、顧客が事前にWebで企業や技術を調べることは実感している。

何を持っている会社なのか。それを必要としている相手からWeb上で見つけてもらえるかどうかを、濵田氏は重視している。

DXも社内でつくり、蓄積する

ハマダではDXについても、社内で取り組むことを重視している。

「外注に頼るのではなく、社内で完成させていくことが一つの道筋だと考えています。最終的には、社内でやったシステムが販売できるところまで持っていこうということも視野に入っています」

自社で取り組むことで、社内に知識やノウハウを蓄積していく。取材では、DXによって得られるデータを経営判断にも活用していく考えが語られた。その先には、社内でつくった仕組みを外部へ展開する可能性も見据えている。

改善の先に、次の仕事を見つける

ハマダの歩みを振り返ると、新しい市場や事業だけを追いかけてきたわけではない。自動車部品の生産では、求められる精度や生産性に応えるために自ら専用機をつくり、現在の仕事でも改善を重ねながら完成度を高めてきた。

その一方で、培ってきた技術を別の分野で生かせないかという視点も持ち続けている。医療分野への展開では、自社の技術が応用できるかを考えるだけでなく、専門家から情報を集め、海外の展示会にも足を運びながら市場性を見てきた。

また、改善を一部の担当者だけの仕事にせず、「全員参加」を目標としてきた。人材育成では、担当者に仕事を「任せきる」ことを重視し、そこで生じる「顔が見える失敗」は、次に生かす教材として捉えている。

取材の最後、社外の人にハマダのどのような価値を知ってほしいかと尋ねた際、濵田氏が最初に挙げたのも「人材」だった。

「人材は、非常に自慢できるところだと思っています。いろいろな人材がいて、それぞれが力を出しやすい環境もつくれてきていると思います」

現在の仕事の完成度を高める。そのための改善に多くの社員が関わり、任された仕事に自ら向き合う。そこで蓄積した技術やノウハウを、次の可能性へつなげていく。

医療分野への展開、改善からの商品化、Webでの情報発信、DXの内製化。ハマダは、目の前の仕事を磨くことを起点に、その先の未知なる市場や仕事につながる可能性を探っている。

取材:Sales First Magazine編集部/文:亀田君子

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