東京ビッグサイトに集まった、中小企業の技術力
2025年12月16日(火)~18日(木)の3日間、東京ビッグサイト東7・8ホールにて「中小企業 新ものづくり・新サービス展」が開催された。本展示会は、日本を支えるものづくりを営む中小企業とビジネスをつなぐオールジャンルの総合展示商談会として、製造・加工テクノロジー、くらし・ヘルスケア、素材・環境・インフラ、情報・DXの4つのゾーンで構成され、今回は全国から520社が出展したほか、86社がウェブ出展した。
SalesFirst Magazine編集部は今回、会場で出展企業5社の経営者・責任者に直接話を伺った。展示会は、BtoB企業の「今」が如実に反映される場であり、各社の技術力や事業の方向性、そして営業・マーケティングの課題といった生の声が凝縮される場でもある。
本記事では、会場全体の様子と、取材を通じて見えてきたBtoB企業に共通する課題を、編集部の視点でレポートする。
技術の話になると、目が変わる
会場は終日、多くの来場者で賑わい、各ブースでは活発な商談や情報交換が行われていた。まず感じたのは、展示会全体の熱量の高さだ。
印象的だったのは、社長自らがブースに立ち、来場者と直接対話している企業が多かったことだ。ブースで話を聞くと、どの企業も自社の技術力に強い誇りを持っている。製品やサービスの仕組み、開発の背景、他社との差別化ポイント。話題が核心に入った瞬間、語り口は一気に熱を帯び、「本当に良いものをつくっている」という自負がひしひしと伝わってきた。
精密部品を並べて実物を見せながら用途を説明する企業、技術を応用した最終製品を展示する企業。各社が共通のブーススペースの中で、それぞれの強みを伝えようと工夫を凝らしていた。Webサイトやカタログだけでは伝わりにくい差別化ポイントも、実物を前に対話することで、来場者の理解が深まっていく様子が見て取れた。
一方で、話を深掘りしていくと、ある共通点が浮かび上がる。
「伝える力」に対する課題意識
インタビューを行った5社のうち、4社が口にしていたのは、「自社の技術やサービスを、十分に発信しきれていない」という悩みだった。
「Webサイトはあるが、更新が止まったままになっている」
「技術の強みをどう言語化し、資料に落とし込めばよいかわからない」
「SNSなどの新しい手法に挑戦したいが、現場に手が回らない」
技術やサービスそのものには自信がある。しかし、それを"伝わる形"に変換する人材や仕組みが足りていない。今回話を伺った企業の大半が、まさにこのギャップに直面していた。
だからこそ、展示会は貴重な機会となる。実際に、リード獲得の手段として展示会に継続的に出展している企業も複数あった。直接会って、実物を見せながら対話できる場だからこそ、Webでは伝えきれない価値を届けることができる。
複業人材・外部リソース活用が進む現場
興味深かったのは、こうした課題への向き合い方だ。補助金制度などを活用しながら、複業人材や外部パートナーを取り入れている企業が多く見られた。
- Webサイト制作・リニューアル
- SNSアカウントの立ち上げ・運用
- 広報・情報発信のサポート
すでに何らかの取り組みを進めているケースも多い。一方で、「点」での施策に留まり、営業や事業成長につながる"全体設計"までは描ききれていないという声も少なくなかった。
展示会は"商談の場"であり、"技術を伝える場"
今回の展示会取材を通じて感じたのは、展示会は単なる製品紹介の場ではなく、企業の現在地と可能性が最もリアルに表れる場所だということだ。
技術力は確かにある。あとは、それをどう届け、どう営業活動につなげていくか。
SalesFirst Magazineでは、今回の展示会で出会った企業の皆さまに対し、個別インタビューを実施している。それぞれの企業が持つ技術の強み、ものづくりへの想い、そして展示会にかける姿勢を、より深く掘り下げていく。
出展企業インタビュー記事(順次公開)
第1回:
放熱基板で差をつける、アロー産業
アロー産業株式会社 代表取締役:矢谷賢司氏
第2回:
超精密・微細・短納期──難しい加工を引き受ける、青海製作所
株式会社青海製作所 代表取締役:青海剛氏
第3回以降、順次公開予定