「リード獲得」をKPIにした瞬間、ズレは始まる|Vol.4

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生成AI時代、BtoBマーケティングはどう変わるのか
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「まずはリードを取ろう」という判断

BtoBマーケティングにおいて、KPIとして最も設定されやすいのがリード獲得数です。

成果が分かりやすく、営業との連携もしやすい。 そのため、多くの企業が「まずはリードを増やそう」という判断を下します。

この判断自体は、間違いではありません。

いつの間にか、目的がすり替わる

問題が生じるのは、リード獲得が目的そのものになったときです。

本来、リードは事業成果につながるための通過点に過ぎません。

しかしKPIとして設定された瞬間、数を増やすこと、短期で成果を出すことが、優先されるようになります。

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起きているのは「最適化」ではなく「歪み」

リード数を追い始めると、施策は次第に似通っていきます。

  • 資料ダウンロードの量産
  • 無料テンプレートの提供
  • とにかくフォームを増やす

一見、マーケティングが前に進んでいるように見えます。

しかし、ここで最適化されているのは、事業成果ではなく、数字の見え方です。

生成AIが、この歪みを加速させた

生成AIの普及により、情報そのものの希少性は急速に下がりました。

要点整理や雛形作成は、AIがいくらでも代替できます。

その結果、

  • 資料の中身を読まれない
  • ダウンロードの動機が弱くなる
  • リードの質が下がる

といった現象が起きています。

「数はあるのに、話が進まない」

営業現場から聞こえてくるのは、

「リードは増えているが、商談につながらない」
「決裁者に届いていない」

という声です。

マーケティングは成果を出している。 営業も間違ってはいない。

それでも、事業として前に進んでいる実感が持てない。

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KPIが変わると、設計が変わる

KPIに何を置くかは、マーケティング設計そのものを規定します。

リード数をKPIにすれば、

  • 広く集める
  • 入口を増やす
  • ハードルを下げる

という設計になります。

それが今の事業フェーズや提供価値と噛み合っていない場合、ズレは拡大します。

成果を出している企業が見ている指標

成果を出しているBtoB企業は、KPIの置き方が異なります。

  • 指名検索の増加
  • 商談化率
  • 初回接触時の理解度

これらは、数値としては地味で、短期では伸びにくい指標です。

しかし、事業成果とは確実につながっています。

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「取る」から「選ばれる」へ

生成AI時代のBtoBマーケティングでは、リードを取ることよりも、選ばれる状態をつくることが重要になります。

そのためには、KPIそのものを見直す必要があります。

次回予告

営業とマーケティングは、なぜ噛み合わないのか

次回は、営業とマーケティングの分断がなぜ起き続けるのか。

その背景にある構造的な原因を整理します。

シリーズまとめ

第1回:前提の揺らぎ
第2回:検索の役割変化
第3回:量が積み上がらない理由
第4回:KPIのズレ
第5回:オウンドメディア単独の限界
第6回:検索に依存しない「これからの常識」

    著者プロフィール

    渡辺 順也

    渡辺 順也
    株式会社イノベーター・ジャパン 代表取締役社長
    社会構想大学院大学 コミュニケーションデザイン研究科 准教授

    慶應義塾大学 商学部を卒業後、日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社(現・日立ソリューションズ)、株式会社サイバーエージェントを経て、2010年に株式会社イノベーター・ジャパンを創業。BtoB営業DXソリューション「Sales First」をはじめ、人のポテンシャルを最大限に引き出すことをパーパスに掲げた事業を展開。2017年から社会構想大学院大学の准教授として、デジタルコミュニケーションを専門として社会人教育にも従事。

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