“しかけ”で集め、“体験”でファンに──非対面時代のグリーグローブ式営業術

記事ヘッダー

「売り込まずに、自然と人が集まる営業手法はないか?」
非対面・非接触のトレンドが加速する中、株式会社gleeglobe(グリーグローブ)は、まさにその問いに対するユニークな答えを提示している。

キーワードは、“しかけ”と“体験”。
巨大ガチャという親しみやすいフォーマットに、CRM・SNS・物流などの機能性を掛け合わせることで、販促・営業・ブランディングを一体で実現する“体験型プロモーション”を確立しつつある。

イベント会社発、6名で挑む体験ビジネス

gleeglobeの代表・上村正治氏は、元々イベント企画を主軸とする会社の出身だ。
「リアルな場で人の心を動かすには、“偶然”や“期待感”が重要」──そうしたノウハウをベースに、独立後すぐに取り組んだのが“巨大ガチャ”を用いたプロモーションツールの内製開発だった。

ハードウェアの設計・製作はもちろん、LINE連携やスタンプラリー、会員システムなどソフト面の仕組みづくりもすべて自社で完結。現在はわずか6名の少数精鋭で、全国規模の施策を展開している。

「イベント発想の企画力」と「実装できる開発力」の掛け算こそが、gleeglobe最大の武器だ。

自然に集まる営業導線──「しかけ」発想のマーケティング

gleeglobeが提供するモンスターカプセルは、一見するとただの大きなガチャマシンだ。しかし、そこには戦略的なマーケティング設計が詰まっている。

たとえば、展示会における「名刺交換→1回巨大ガチャ」という導線。
参加者は名刺を渡す代わりに、特典が当たるガチャを回せる。自然な形で情報提供のモチベーションを引き出し、その後のCRMにもつなげやすい。さらに、LINE登録や会員カードと連携すれば、来場者の“体験”をデータとして蓄積し、次回以降のマーケティングに活用できる。

この“仕組み営業”により、実際に1日10件以上の問い合わせが舞い込むケースもあるという。プロモーションを“出会いの場”にとどめず、“営業の起点”へと昇華しているのが特徴だ。

顧客とともに育てるブランド設計

こうした仕掛けを通じて、gleeglobeのプロダクトは“体験した人が伝えたくなる”仕組みとして浸透してきた。
実際に、多くのリピート利用や口コミから新規案件が発生し、導入企業の担当者から「こういう使い方もできるのでは?」と逆提案されるケースも少なくない。

同社では、実際の導入事例を可視化し、自社サイトやメディア、SNSなどでの発信に積極的に活用。「知ってもらう」だけでなく、「信頼してもらう」ブランディングにも力を入れている。

「私たちが売り込むというより、ユーザーと一緒にブランドを育てている感覚です」と上村氏は語る。

エリア分散・パートナー展開によるスケール戦略

イベント業界の多くが“人”に依存しやすい中、gleeglobeではスケール戦略にも独自の視点を持つ。

たとえば、地方エリアでのニーズに対応するため、協力倉庫やパートナー企業との連携を強化。東京からの遠距離配送を減らし、コストと物流負荷を抑える一方、提供スピードと安定性を高めることに成功している。

「巨大ガチャ機材は“現場に届いてこそ”意味がある。どんなエリアでも同じ品質で提供できるよう、全国にネットワークを築いています」(上村氏)

地域密着と柔軟な対応力を両立する体制は、今後の事業拡大に向けた強力な基盤となっている。

SNSと体験をつなげるマーケティング構想

そして、gleeglobeが次に見据えているのが、オフラインとオンラインをつなぐ“ハイブリッド体験”だ。

現在開発中なのは、LINEやInstagramと連動したスタンプラリー型プロモーション。
来場者がリアルな場でスタンプを集め、それがSNS連携によって「継続的な接点」へと昇華される。企業にとっては、単発のイベントをきっかけに、長期的なファンや顧客を獲得するチャンスになる。

「“体験”の熱量を、デジタルで資産化する。そんな仕組みづくりを進めています」と上村氏。

プロダクトそのものではなく、“しかけ”を起点にしたストーリーを提供するgleeglobe。非対面時代の今だからこそ、こうした体験型プロモーションが新たな営業のあり方として注目されている。

株式会社gleeglobe 代表取締役CEO 上村正治氏
株式会社gleeglobe 代表取締役CEO 上村正治氏

(取材・文・写真:Sales First Magazine編集部)



効率化の記事一覧

Sales First Magazine のトップページへ戻る