ブリタニカに学ぶ!マーケティングの未来を読み解くヒント
皆さんは、かつて「知識の象徴」として君臨した ブリタニカ国際大百科事典 をご存知でしょうか?
1768年の創刊以来、長きにわたり知識人や中産階級の「知的ステータス」の象徴として愛されてきたブリタニカは、1980年代には年間50万セット以上を売り上げ、最盛期には年間約6億5千万ドルの売上を記録するほどの大成功を収めました。重厚な全巻セットが書棚に並ぶ姿は、まさに知の権威そのものでした。
しかし、1990年代に入ると、その黄金時代は急速に終焉を迎えます。
時代の変化に取り残された「知の巨人」
CD-ROMの普及、 Microsoft Encarta のような電子百科事典の登場、そして何よりも インターネット と Wikipedia の爆発的な普及により、「知識は無料で誰でもアクセスできるもの」という認識が世界中に広まりました。
高価な紙媒体のブリタニカは、情報の鮮度や更新頻度でデジタルに太刀打ちできなくなり、2012年には印刷版の刊行終了を発表。まさに「知の巨人」の衰退を象徴する出来事となりました。
ブリタニカの事例から学ぶマーケティングの教訓
このブリタニカの盛衰は、現代のマーケティングにおいて非常に重要な教訓を与えてくれます。
- ユーザーの「目的」は不変、「手段」は変化する
いつの時代も、人々が「知識を探求したい」という根本的な欲求は変わりません。しかし、その欲求を満たす「手段」は、紙の百科事典から電子メディア、そしてインターネットへと劇的に変化しました。私たちは、ユーザーの根本的なニーズを見極めつつ、そのニーズを満たす最適な 手段 を常に模索し、提供し続ける必要があります。 - 「価値」の再定義の重要性
ブリタニカはかつて「情報の網羅性」と「ステータス」に価値を見出していました。しかし、デジタル化が進むにつれ、情報の網羅性は当たり前になり、ステータスとしての価値も薄れていきました。市場やテクノロジーの変化に合わせて、自社が提供する 価値 を常に再定義し、ユーザーに響く新しい価値を創出することが不可欠です。 - 情報過多時代の「効率化」ニーズ
現代はまさに情報過多の時代。論文、記事、ブログなど、多様な形式の情報が溢れかえり、全体像を把握するだけでも一苦労です。このような時代だからこそ、ユーザーは 効率的に情報を整理・活用できるツール を求めています。
変化の波を乗りこなし、未来を切り拓くために
ブリタニカの物語は、過去の栄光にあぐらをかかず、常に変化の兆しを捉え、柔軟に対応することの重要性を私たちに教えてくれます。ユーザーのニーズがどのように変化しているのか、新しいテクノロジーがどのような可能性をもたらすのかを常に問い続ける必要があります。
現代社会では、情報そのものの価値だけでなく、その情報をいかに 効率的に収集し、整理し、活用できるか が、個人にとってもビジネスにとっても非常に重要になっています。知識の探求という目的は変わらなくとも、それを達成するための最適な「手段」は常に進化し続けるのです。
あなたのビジネスは、この変化の波をどのように乗りこなし、未来を切り拓いていくでしょうか? ぜひこの機会に、市場の変化と顧客の真のニーズについて深く考えてみてはいかがでしょうか。
著者プロフィール
安藤 芳樹
「セブンチャート仕事術」開発者。セブンチャートインストラクター、オフィスミラクス代表
広告代理店(ADK)に勤務しながらドラッカーを実践。「5つの質問」で企業トップとの事業の定義を合意しながら経営者視点で商談を進め顧客に認められる。40歳の頃、ビジネス観や人生観に普遍の基盤をもちたくドラッカーに目覚める。その知見体得のために試行錯誤してたどり着いたのが「セブンチャート仕事術」。その体得のためにやった反復訓練は30000ページのチャートを作るにいたり、今も増殖中。さぬきうどんブームの仕掛け人であり、映画「UDON」のトータス松本の役柄モデルでもある。立教大学卒業。2021年12月23日 初の著書「チャートで考えればうまくいく」を上梓。