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“売らずに選ばれる”BtoB営業──ニレコが実践する製造業のインバウンド戦略

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BtoBビジネスにおいて、「営業は足で稼ぐもの」とされてきた時代は過去のものとなりつつある。今、多くの企業が、売り込まずに“選ばれる”存在になることを目指し、営業やマーケティングのあり方を見直し始めている。

1950年設立の株式会社ニレコも、そうした変革に取り組む企業の一つだ。計測・検査・制御技術を核とし、長年にわたり製造業界に不可欠な技術を提供してきた同社は、これまで“営業をしない営業”ともいえる独自の立ち位置を築いてきた。そんな同社がなぜ今、営業やマーケティングのあり方を見直し始めているのか。その背景とこれからの展望を、代表取締役社長・中杉真一氏に聞いた。

“指名される企業”としての立ち位置

「かつて当社は、いわゆる“営業しなくても指名される”ような会社だったんです」と中杉氏は語る。

ニレコの製品は、鉄鋼・フィルム・紙など特定の業界における工程管理や品質管理の要となる制御・計測・検査機器。特に、国内外の製鉄業界では、長年にわたって導入実績が蓄積され、顧客側からの“指名買い”が多かったという。

商社を介した導入も多く、顧客とは技術を起点とした信頼関係が構築されていた。さらに、海外展開においても、販社を多く置かずに製品の性能と信頼性をベースに販売する体制がとられていたという。

「そのため、全国に営業所を展開しているわけでもありませんし、従来のいわゆる“足を運んで案件を取ってくる”という営業体制ではありませんでした」

こうした背景から、ニレコでは長らく、営業企画やマーケティングを専任で担う体制が整っていなかった。しかし、その状況が近年、少しずつ変わり始めている。

部門単位で動く営業・マーケティングの現在地

現在、ニレコでは事業部門ごとに営業活動やマーケティング施策が展開されている。

たとえば、検査装置を担当する部門では、専門誌への広告出稿や展示会への出展といった、従来型の施策を継続的に実施。業界内での認知を維持しながら、新たなリード獲得にもつなげている。

一方で、計測装置を担当する部門では、Google広告やWebサイト経由の問い合わせ対応など、よりデジタル寄りの取り組みも進んでいる。

「全社的に統一されたマーケティング方針があるというよりは、それぞれの部門が対面業界や製品特性に応じて実践的に取り組んでいるという状況です。現場の担当者がそれぞれ試行錯誤しながら、効果検証や改善に取り組んでくれています」

属人性やノウハウの蓄積といった課題はあるものの、部門単位の自主的な取り組みが徐々に組織全体に波及しはじめている。

デジタル活用と改善サイクルの定着へ

こうした取り組みの中で、ニレコでは広告やWeb施策の効果測定にも本腰を入れ始めている。

「これまで、広告を出すこと自体が目的になってしまっていた時期もありました。最近は、ホームページからの問い合わせ件数や傾向を定期的に共有し、各部門で内容を確認した上で即時に対応する体制を整備しています」

これにより、Webからの引き合いをきっかけに、より早期の段階で営業機会を創出できるようになりつつあるという。いわば“情報起点の営業”が少しずつ機能し始めている状態だ。

また、社内ではWeb導線の見直しにも継続的に取り組んでおり、顧客がたどり着きやすい情報設計や問い合わせ動線の改善を進めている。

製品力と接点づくりで営業を再構築

「営業所が少ないからこそ、製品力とWebでの情報提供をしっかり行うことで、お客様とつながっていく必要があります」と中杉氏は話す。

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