SalesFirstMagazine 編集部の比木です。営業の現場でよく耳にする「As Is」と「To Be」。これは、現状(As Is)の問題を理解し、理想の状態(To Be)を明確に描くことで、営業活動を大きく変革するための重要なステップです。特に営業DXの文脈では、この2つの概念が企業の成長に大きな影響を与えるポイントとなります。しかし、具体的にどう進めればよいのか、悩んでいる企業も多いのではないでしょうか。
本記事では、「As Is」から「To Be」への変革を成功させるための具体的なアプローチや、企業が陥りがちな失敗パターン、そしてその回避方法について詳しくご紹介します。
「As Is」と「To Be」とは?
まず、「As Is」は現在の営業プロセスや顧客対応の現状を指します。一方で、「To Be」は目指すべき理想の営業プロセスや顧客体験のことを指します。この2つを明確に定義することで、営業活動の方向性がはっきりし、改善点も見えてきます。
例を挙げると、現在の営業(As Is)が「訪問営業が中心で、顧客データの管理がエクセルでバラバラ」という状態だとします。これに対して、理想の営業(To Be)は「オンライン商談やデジタルツールを駆使して、データが一元管理されている状態」と定義できるでしょう。このように、現状と理想をしっかり言語化することが重要です。
なぜ「As Is」と「To Be」の定義が重要なのか?
「As Is」と「To Be」の定義が不明確なままだと、改革の方向性が見えなくなり、結果的に無駄な施策にリソースを割いてしまうことになります。たとえば、単に営業ツールを導入するだけでは、本質的な変革にはつながりません。ツール導入の前に、まずは「どのような理想の営業プロセスを目指すのか?」という問いを明確にすることが大切です。
想定される失敗例とは
ここで、営業DXの取り組みを進める中で陥りがちな失敗例について見ていきましょう。これらの失敗は、適切なアプローチを取ることで回避可能です。
1.ツール導入が目的化する
営業の改善を目指して最新ツールを導入しても、現場のニーズに合わない場合、むしろ業務が煩雑になることがあります。ツールが目的化し、実際の営業プロセスにはまったく貢献しないケースが多いです。導入前にしっかりと現状を把握し、課題に沿った改善策を検討する必要があります。
2. 現場の声を無視した改革
経営層が「To Be」の理想像を描いたとしても、現場の営業担当者がそれに納得しなければ、変革は失敗に終わります。特に顧客との接点が多い現場の意見は重要です。顧客が対面での商談を好む場合、オンライン商談を一方的に推し進めると、顧客満足度が低下する可能性があります。
3. 改善プロセスが一貫していない
変革を進める際には、段階的かつ一貫した施策が求められます。複数の改善施策を同時に進めると、リソースが分散し、どの施策も中途半端に終わることがよくあります。一歩ずつ確実にギャップを埋めることが成功のカギとなります。
「As Is」「To Be」を活用するための視点を変えたアプローチ
「As Is」と「To Be」の概念は、営業プロセスの変革において有効ですが、活用方法は単に現状分析と理想設定だけではありません。ここからは、異なる視点での3つの活用方法を紹介します。