AI時代のSEO再考① -検索トラフィックが激減している理由とは?

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目次

  1. Google AI Mode登場によって、検索は "終わった"のか?
    1. 1-1. SEOに歴史的な転換点が到来している
    2. 1-2. もう始まっている、 SEOトラフィックの "異変"
    3. 1-3.「検索されても読まれない時代」の到来
    4. 1-4. 情報の価値が正当に評価されない構造的な問題
    5. 1-5.「SEOの時代は終わった」は早計な判断
    6. 1-6. 検索の未来を見据えた戦略的な対応が必要
    7. 1-7. 4回連載で徹底解説
    8. 1-8. AI時代の検索には、情報戦略の再構築が不可欠

Google AI Mode登場によって、検索は "終わった"のか?

SEOに歴史的な転換点が到来している

「検索で上位に表示されることでトラフィックを得る」「コンテンツを資産として積み上げれば、将来的にリードにつながる」長い間、こうした考え方が Webマーケティングの常識だった。しかし今、この常識に疑いを持つ必要が出てきている。

検索エンジン経由のトラフィックが、急激に減少しているからだ。

しかも、この現象は単なるアルゴリズム変更や競合増加によるものではない。 GoogleがAI Mode(AIモード)を導入し、検索結果をAIが要約してユーザーに "答え"をその場で提供してしまうという、 根本的な構造の変化が背景にあるのである。

もう始まっている、 SEOトラフィックの "異変"

2024年後半から、日本の検索市場でも一部のユーザーに向けて AIモード(旧SGE)の展開が始まった。それ以降、Webメディアや企業のオウンドメディアで、こんな変化が起きている。

  • 検索順位は保っているのに、クリック数だけが激減
  • 記事にアクセスはないのに、要約だけが使われている
  • 「トラフィックが蒸発した」と感じる運営者が続出

これは単なる気のせいではない。 「検索体験そのものが、Googleの中で完結してしまう」 という変化が起きているからである。

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「検索されても読まれない時代」の到来

今までのSEOは、ユーザーが検索したキーワードに対して、自社の記事やページを最適化し、上位に表示されることでトラフィックを獲得する仕組みだった。

この仕組みは長年有効で、「 SEO=安定集客」として多くの企業が頼りにしてきた。

ところが、GoogleのAIモードはこの前提を根底から覆した。ユーザーが検索した瞬間に、 GoogleがAIを使って複数のサイトから情報を抽出・要約し、 "答え"をその場で生成してしまうのだ。

その結果、ユーザーはリンクをクリックすることなく、 Googleの検索結果ページ内だけで目的を果たしてしまう。ページが「見られていない」ことに運営者が気づかないまま、コンテンツは"搾取"され、トラフィックは発生しないという現象が広がっている。

情報の価値が正当に評価されない構造的な問題

AIモードでは、情報の出典元としてサイト名や URLが表示されることがある。しかし、それが意味あるトラフィックにつながることは、ほとんどない。

Googleは、AI要約によってユーザーの利便性を高める一方で、情報提供元に対する還元設計を用意していない。つまり、Webサイトは「情報源」として利用されるだけで、広告収益も、リードも、何も得られないのだ。

これが、2025年現在、Web運営者にとって最大の危機となっている。

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「SEOの時代は終わった」は早計な判断

とはいえ、「SEOはもう通用しない」と諦めるのは早すぎる。本質的には、「検索トラフィックに依存するビジネスモデルが限界を迎えた」のであり、 SEOという施策そのものは、依然として意味を持つ。ただし、その設計思想と使い方を、今の時代に合わせて"再定義"する必要があるのだ。

例えば、以下のような疑問に答える必要がある。

  • そもそもAIモードとはどういう仕組みなのか?
  • なぜWebサイトは「使われるだけ」で終わってしまうのか?
  • コンテンツは、どのように守り、どう活かすべきなのか?
  • Google以外に、トラフィックを生み出す新たなチャネルはあるのか?

こうした問いに正面から向き合わない限り、今後の Web運営は、じわじわと"見えない衰退"に追い込まれていくことになる。

検索の未来を見据えた戦略的な対応が必要

現在起きている変化は、単なる技術的なアップデートではない。検索という行為そのものが、根本的に変わろうとしているのだ。

これまでのように「とりあえず上位表示を目指す」「コンテンツを量産する」といった従来型の SEO手法では、もはや十分な成果を期待できない。

必要なのは、AI時代の検索環境を正しく理解し、その中で自社のコンテンツや情報をどう位置づけるかという、より戦略的な視点である。

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4回連載で徹底解説

この連載では、AI時代のSEOをどのように捉え直すべきか、全 4回にわたって詳しく解説していく。

第2回検索体験そのもでは、Googleの「AI Mode(旧SGE)」の実態に迫る。単なる新機能ではなく、のを再定義するテクノロジーである AI Modeが、なぜこれほどまでにWebサイトの在り方を揺るがしているのか?その仕組みと意図を分かりやすく解説する。

第3回では、AIに要約されることで何が失われ、Webサイトはどんな"損"をしているのかを具体的に説明する。どこまでクローラーをブロックし、どの情報を守るべきか。コンテンツ戦略の「攻めと守り」について現実的な対応策を提示する。

第4回では、もはやGoogle検索だけに頼らないための"脱SEO戦略"について紹介する。どのようにしてオウンドメディアを「自ら集客できる場」に変えるか。 SNS、メルマガ、 YouTubeなど、"自社主導のチャネル"を育てることこそ、これからの Web戦略の中核になるのだ。

AI時代の検索には、情報戦略の再構築が不可欠

GoogleがAIモードを導入したことで、 SEOを取り巻く状況は激変した。「検索順位が高ければトラフィックが集まる」という単純な構造は、もはや過去のものである。

私たちは今、コンテンツを単なる"集客装置"として捉えるのではなく、資産としてどう守り、どう届けていくかを考える必要がある。そのためには、AIによる要約にただ耐えるのではなく、戦略的にクローラーを制御し、検索以外のチャネルを再設計することが不可欠だ。

検索の世界は確実に変わった。しかし、変化を恐れるのではなく、新しい環境に適応した戦略を構築することで、むしろ競合他社に差をつけるチャンスともなり得る。

次回の記事では、「AI Modeとは何か?」という本質的な疑問に答え、これからの SEO戦略再構築に向けた具体的な第一歩を一緒に考えていく。

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