BtoB営業において、商談や案件の進捗管理は欠かせません。しかし、「スプレッドシートで管理しているけれど、チームへの共有が遅れる」「どの案件が止まっているのか分からず、フォローが後手に回る」といった課題を感じることはないでしょうか?
CRMの導入は有効な解決策ですが、高額な費用や運用の手間がネックになることも。しかし、コストをかけずに営業DXを実現する方法があります。 Google Apps Script(GAS)を活用することで、スプレッドシートの情報が更新されたタイミングで、Slackにリアルタイム通知を自動送信することが可能になります。
■ この仕組みによって期待できる効果
- 商談進捗のリアルタイム共有
- 未対応案件の見落とし防止
- チーム内情報共有の効率化
- 管理工数の削減
記事内では、複数の条件下での通知にも対応したコピペで使えるサンプルコード付きで詳しく解説。GAS未経験の方でも簡単に実装できます。費用ゼロで導入できる営業DXを、ぜひお試しください。
目次
1. Slack通知のメリット
では、まず Slack通知を導入することで、どのようなメリットがあるのか? 具体的な効果を見ていきましょう。
- リアルタイムで共有可能
スプレッドシートを開かなくても最新の案件状況が把握できるため、商談などの進捗を即座に把握し、適切なタイミングでフォローアップが可能。 - 通知の見落としを防げる
営業担当者は外出や商談が多いため、Slackでの即時通知によって重要な案件の更新を見逃すリスクを軽減。 - カスタマイズが容易
通知メッセージや条件を変更し、自社の営業プロセスに最適化が可能。たとえば「見積送付」「受注確定」などのステータス変更時に通知を送る設定も可能。 - 営業マネージャーの管理がスムーズに
チーム全体の進捗が可視化され、管理職は案件のボトルネックを早期に発見し、迅速な対応が可能に。 - 顧客対応のスピード向上
クライアントからの問い合わせに対し、案件の最新情報をすぐに確認できるため、レスポンスの迅速化につながる。
2. Google App Scriptとは?
Google App Script(GAS)は、Googleが提供するスクリプト言語で、GmailやGoogleスプレッドシート、Googleドライブなどと連携して業務を自動化できます。さらに、SlackやChatwork、Twitterなどの外部サービスとも連携が可能です。
GASは無料で利用でき、特別な開発環境のセットアップも不要なため、短時間で業務効率化を実現できます。
3. SlackのIncoming Webhookを設定する
スプレッドシートからSlackへメッセージを送信するには、Slackの「Incoming Webhook」機能を利用します。ここでは、Slackに通知を送るためのIncoming Webhookの設定方法について解説します。
現在、Incoming Webhookには、新方式(Slack App)と旧方式(カスタムインテグレーション)の2種類があります。
新方式(Slack App)の手順
Slack Appを作成
1.「 https://api.slack.com/apps 」にアクセスし「Create an App」をクリック
2.「Create an App」と表示されるポップアップ画面で「From scratch」を選択
3.「App Name 」と「Development Slack Workspace」を設定し「Create App」をクリック
※App Nameに日本語を使用するとページエラーが出る場合があります。
Slack App内にIncoming Webhook機能を追加
Settingsの「Basic Information」よりAdd features and functionalityの「Incoming Webhooks」をクリック
※すでに追加されている場合はFeatures内の項目に「Incoming Webhooks」が表示されているので、この設定は不要です。
Webhook URLの発行
1.Features内の項目にある「Incoming Webhooks」を選択し「Activate Incoming Webhooks」をオンにし、ページ下部にある「Add New Webhook to Workspace] をクリック
※管理者からの承認が必要な場合は「Request to Add New Webhook」をクリックして承認を得る
2.通知を送信したいチャンネルを選択して「Allow」をクリック
3.発行されたWebhook URLをコピーする
旧方式(カスタムインテグレーション)の手順
- ワークスペースの 「設定と管理]」から 「アプリを管理」を選択
- 検索バーで "Incoming Webhooks" を検索し、表示されたらクリック
- 「Slackに追加]」ボタンをクリック
- 通知を送信したいチャンネルを選択し「[Incoming Webhooks」をクリック
- 発行されたWebhook URLをコピー
方式 | 推奨 | 説明 |
新方式 (Slack App) |
推奨 | 2020年以降はこちらが推奨されています。将来的に旧方式は利用できなくなる可能性があります。 |
旧方式 (カスタムインテグレーション) |
非推奨 | 現在も利用可能ですが、非推奨となっています。 |
設定する場合は新方式を利用するのがおすすめです。旧方式は将来的に使用できなくなる可能性があるため、現在旧方式をご利用中の場合も早めに新方式に移行することを検討しましょう。
4. スプレッドシートの準備
スプレッドシートは、Googleが提供するオンラインの表計算ソフトです。本記事で解説するSlack通知システムを構築する上で、スプレッドシートはデータの保存場所として重要な役割を果たします。この章では、Slack通知に必要となるスプレッドシートの準備手順について解説します。
まず、Googleアカウントでログインし、Googleドライブを開きます。「新規」ボタンから「Google スプレッドシート」を選択し、新しいスプレッドシートを作成します。スプレッドシートのタイトルは分かりやすいものに変更しておきましょう。
次に、スプレッドシートに「Slack通知に必要なデータ」を入力するための列を準備します。どのようなデータが必要かは、通知したい内容によって異なりますが、最低限以下の列を作成することをおすすめします。
No. | 案件名 | ステータス |
1 | 商談A | 進行中 |
2 | 商談B | 完了 |
今回は、C列(ステータス)が「完了」に変更された際にSlackへ通知を送るように設定します。設定が完了するとSlackの指定したチャンネルに以下のような通知が届きます。
5. GASを記述してSlack通知を実装する
スプレットシートの準備が整ったら、実際にコードを記述してみましょう。コード内の★がついている箇所を用途に合わせて変更することで、さまざまな通知に活用することができます。