多くのマッチングアプリが存在する時代に、なぜ結婚相談所は選ばれ続けるのか?

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スマホを開けば、よく目にする「マッチングアプリ」の広告。数えきれないほどのサービスが登場し、多くの人が気軽に利用している時代です。私の知人もパートナー探しは「マッチングアプリ」とこたえる人が当たり前になってきました。

それなのに、なぜ「結婚相談所」の需要はなくならないのでしょうか?

「マッチングアプリ」という便利なサービスがあるのに、わざわざ高額な費用を払ってまで結婚相談所を利用する人がいるのはなぜなのか?今日はその理由を紐解いていきたいと思います。

4Pから読み解く、マッチングアプリと結婚相談所の決定的な違い

マーケティングの基本原則の一つに「4P」という考え方があります。これは、ビジネスを成功に導くための4つの要素、Product(製品・サービス)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販促)を指します。

この4Pの視点から見ると、マッチングアプリと結婚相談所は、一見同じ「婚活」というカテゴリーに属しながらも、その「プロダクト思想」が全く異なることがわかります。

  • マッチングアプリのプロダクト思想
    「セルフサービス型のマッチングプラットフォーム」です。 アプリという「箱」を提供し、その中でユーザーが自らの力でプロフィールを作り、相手を探し、コミュニケーションを取り、関係を築いていく。ユーザーは、そのプラットフォームの使いやすさや、登録者の多さに対して対価を支払います。
  • 結婚相談所のプロダクト思想
    「成果にコミットするパーソナルコンサルティングサービス」です。 ただ人と人をつなぐだけでなく、成婚というゴールに向けて、一人ひとりの課題に寄り添い、解決策を提示し、伴走します。彼らが提供するのは、プラットフォームではなく、「人」による手厚いサポートなのです。

このプロダクト思想の違いが、両者のターゲット層を明確に分けています。

「丁寧なケア」が、コスト高の「妥当性」を生む

マッチングアプリは、言ってしまえば「セルフサービス」です。自分でプロフィールを作り、写真を撮り、メッセージを送り、デートの場所を決め……。全てを自分の力で行う必要があります。

このプロセスを難なくこなせる人にとっては、時間もお金も節約できる最高のツールです。

しかし、世の中には、それがうまくできない人が存在します。

  • 自分磨きの方法がわからない
    どんな服装を選べばいいのか、どうすれば清潔感が出るのか、全く検討がつかない。

  • コミュニケーションに苦手意識がある
    初対面の人と何を話せばいいのかわからない、メッセージのやり取りが続かない。

  • デートプランを立てられない
    どこで会えばいいのか、何をすれば相手に喜んでもらえるのか、誰かにアドバイスしてほしい。

彼らは、決して魅力がないわけではありません。ただ、「他人のアドバイスがないと、どうすればいいかわからない」のです。

マッチングアプリでは救えない層が、確実に存在する

ここに結婚相談所の存在意義があります。

結婚相談所のカウンセラーは、言わば「婚活のプロデューサー」でフルサービスです。彼らは会員一人ひとりに寄り添い、丁寧な「ケア」を提供します。

  • プロフィールの作成支援
    第三者の視点で、あなたの魅力を最大限に引き出す文章や写真選びをサポートします。

  • ファッションや身だしなみのアドバイス
    パーソナルスタイリストのように、TPOに合わせた服装や髪型を提案します。

  • デートプランニング
    初デートに最適な場所や、会話が弾むようなテーマを一緒に考えます。

  • お見合い後のフィードバック
    うまくいかなかった原因を分析し、次のステップへの具体的なアドバイスを行います。

これらの手厚いサポートは、マッチングアプリでは得られないものです。

自分で全てをこなすには難しいと感じる人にとって、この「丁寧なケア」は、まさに「お金を払ってでも手に入れたい」価値なのです。

結婚相談所の利用料は決して安くありません。しかし、そのコストは、カウンセラーが提供する手間と時間、そしてその「丁寧なケア」という価値に見合ったものです。

顧客が本当に必要としているもの、つまり「成婚の支援」を手間暇かけて提供する。その「顧客貢献」の度合いが、コスト高の妥当性を生み出します。

安価なサービスが市場を席巻する現代において、「丁寧に、手厚く、個別にサポートする」というビジネスモデルは、一見非効率に見えるかもしれません。

しかし、だからこそ、その価値を最大限に享受できる特定のセグメントが存在し、その人たちにとってなくてはならないサービスとなるのです。

結婚相談所がこれからも必要とされ続ける理由は、この「丁寧なケア」にこそ「マッチングアプリではうまくいかなかった」顧客が求める真の価値があるからなのです。

著者プロフィール

安藤 芳樹

安藤 芳樹
「セブンチャート仕事術」開発者。セブンチャートインストラクター、オフィスミラクス代表

広告代理店(ADK)に勤務しながらドラッカーを実践。「5つの質問」で企業トップとの事業の定義を合意しながら経営者視点で商談を進め顧客に認められる。40歳の頃、ビジネス観や人生観に普遍の基盤をもちたくドラッカーに目覚める。その知見体得のために試行錯誤してたどり着いたのが「セブンチャート仕事術」。その体得のためにやった反復訓練は30000ページのチャートを作るにいたり、今も増殖中。さぬきうどんブームの仕掛け人であり、映画「UDON」のトータス松本の役柄モデルでもある。立教大学卒業。2021年12月23日 初の著書「チャートで考えればうまくいく」を上梓。

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