商品を絞るほど強くなる──ブレーキ特化が生んだ営業モデル

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創業以来、ブレーキ部品に特化し続けてきた中山ライニング工業株式会社。同社の強みは、価格や品揃えではない。徹底した「地域密着」と「スピード対応」、そして営業と技術が一体となった独自の体制にある。

一見すると非効率にも見えるその戦略は、なぜ顧客から選ばれ続けているのか。現場起点で磨き上げられた営業モデルの本質に迫る。

創業の原点と"ブレーキ特化"という選択

中山ライニング工業は、ブレーキライニングの張り替え、いわゆる再生事業からスタートした。「これからは車の時代になる」という先見のもと、摩耗したブレーキを再利用するビジネスを立ち上げたのが始まりだ。

現在でこそSDGsやサーキュラーエコノミーが注目されているが、同社は創業当初から"リサイクル"という価値を事業の中核に据えてきた。

しかし、同社の本質は環境対応にとどまらない。特筆すべきは、「ブレーキに特化し続けている」点にある。多くの同業が取扱商品を拡大する中で、同社はあえて扱う領域を広げない。いわば"専門店型"のビジネスモデルを貫いてきた。

「何でもやらない」ことで生まれる営業優位性

中山ライニング工業は、ブレーキおよび関連部品に領域を絞っている。

取扱商品を増やした方が売上は伸びそうに見える。しかし同社にはかつてその判断を試みた時期があり、結果として痛い目を見ている。新たな顧客を狙って営業エリアを広げた結果、既存顧客への対応が手薄になり、トータルの売上が落ちてしまったのだ。

この経験から導き出されたのが、「広げない」という戦略だった。スピード対応を成立させるためには、扱う商品も、営業エリアも、むしろ絞る必要がある。その代わりに、既存顧客への価値提供を徹底的に高める。この意思決定が、同社の営業モデルの土台となっている。

90分納品を実現する"スピード営業"

同社の最大の特徴は、注文から最短90分で納品する体制にある。

なぜここまでのスピードが求められるのか。それは顧客である整備工場の現場に理由がある。車両はリフトに上げられた状態で整備される。ブレーキ交換が必要になった時点で、すでに作業は止まっている。部品が届かなければ、その車両を下ろすことも、次の作業に移ることもできない。

つまり、ブレーキ部品は「待てない商材」なのだ。この「待てない」という制約こそが、同社の営業モデル全体を規定している。

この制約に対し、同社は"まとめて配送する"という一般的な効率重視の発想を捨てた。代わりに、即時対応を前提とした配送体制を構築している。

技術×営業の融合が生む顧客価値

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